本研究では、格要素の省略がないと仮定して、動詞の格要素数と 結合価パターンの制約能力の関係を調べた。
格要素数が多いほど、結合価パターンが意味的な誤り文を見逃さない割合は 多くなり、格要素数が3の場合で99%となった。
格要素数が多いほど、結合価パターンの制約条件を満たす文は 少ない結果になったが、意味的に適切な文を見逃さない割合は減少した。
以上より、文の生成においては現在の結合価パターンを使用することは難しいが、 格要素が多ければ、結合価パターンは単文の誤り検出には十分使用できる。
また、今回の実験ではサンプリングデータが少なかったため、 一般名詞とIPAL名詞、和語動詞と漢語動詞の実験結果の差異は見られなかった。
今後は、格要素の省略も考慮にいれた制約能力についての検証が考えられる。