Game Review

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タイトル 総合点 シナリオ 演出 操作性 戦略性 バランス やり込み 熱中度 完成度
サクラ大戦2
10

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サクラ大戦2(ドラマチックADV、セガ、Sutern)


シナリオ:9点

極上のデコレーションケーキ。そんな言葉がよく似合うシナリオです。前作を 正統に引き継いで、よりハードに、よりシリアスに、そしてよりお約束を加速させた シナリオは、本当に一級品。ただし、あまりの”濃さ”について来られない人もいる だろう。難点を言うと、前作をやっていない人には分からないシナリオである事だろう。 まあ、「サクラ」マニアしか買わないゲームだから、あまり問題にはなっていないが。
今回新キャラが2人追加されたが、ちゃんとキャラもたっていて、好み次第では 従来のメンバー6人を食うかも。新キャラのインパクトが強いせいで、従来のメンバー にあまり陽が当たらなくなっているが、それは前作とのバランスを考えれば、魅力 の分散にはならない。
副題にもなっている「君死にたもうことなかれ」は、「サクラ2」のメインテーマ であり、一番シビレる形で使われていた。いろいろな部分の豪華さゆえ、シナリオ単体 がおおっぴらに評価の対象にはならないのだけど、ここまで「ありがち」と「お約束」 を極めたシナリオには滅多にお目にかかれる物ではない。
『キメッ!』の美学の集大成ともいえる逸品です。


演出:9点

架空時代「太正時代」という世界観の演出は前作同様に完璧。豪華絢爛必殺技、 イメージ通りの声優起用、ツボをおさえたストーリー展開。すべてが高レベルに完成 されている。しかし、いまいち親切設計とは言えない。飛ばせない必殺技のCGと、 長ったらしい戦闘パートにイライラした。
あと、随所に挿入されていたアニメーションはキレイにはなったが、相変わらず 細切れで短すぎ。表面的演出には文句の付けようもない程に完成されているが、その あまりの豪華さは何度も繰り返さなくてはならないゲームにおいてはマイナスでしか ないのだから。
「サクラ」はその存在自体が「打ち上げ花火」のようなものなので、そういう 頭でっかちな作りになってしまうのは仕方ないのかも知れないが、しかし、本当は トータルとしての演出を考えて欲しかった。


操作性:8点

時間制限選択システム(LIPS)が大きく進化し、単純な選択肢にも緊張感が生まれた。 ADVパートの時間経過明示や制限時間によって選択肢が変化したりと、このシステムが 行き着く所まで来たと感じられた。戦闘パートも移動キャンセルが可能になった。 (前作までは移動先を一度決めたらキャンセルできなかった)。これにより、大幅に 戦闘中の「大ポカ」が少なくなった。
インターフェースとして非常に優れたゲームだが、総合的には「めんどくさい」 という印象が強すぎる。少なくとも2回、できれば8回プレーしなければならない ゲームにおいて、あの戦闘パートの長さは致命的な欠陥である!いかに優秀なインター フェースを持とうとも、ゲームとしてのリズムが良くなければダメだというよい例だ。


戦略性:5点

戦闘パートはヌルイ。もはやSLGとは言えないくらい。機体が7体から9体になって ますます力押しでどうにでもなってしまうワンパターンな展開と、やたらと時間のかかる 戦闘パート。2周目以降には、戦闘スキップ機能が欲しかった。
ADVパートは文句のつけようがない出来であるだけに、戦闘パートの「もっさり」と した重さが、複数回プレーの妨げになってしまっている。


バランス:6点

1話分がだいたい1時間半くらいだが、これは1回目のプレーではあまり気になら ない長さではあるが、2回目以降ではおそろしく長く感じてしまった。特に、戦闘パート のテンポの悪さに辟易してしまった。完全な力押しで戦略もくそもないのに、やたらと 時間だけはかかる。
個々を見れば、これらは多少のストレスを上回るゴージャスさがあり、大した問題 ではないように思えるが、トータルバランスにしてみると、そのストレスはとんでもなく 巨大なものとなっていた。


やり込み:9点

このゲームを極めるのは相当大変な事である。全イベントを見るのも一苦労。何しろ 前作のクリアデータがなければ見れないイベントまであって、完全攻略の道は遠く険しい 。他にもミニゲームが豊富であったりして、やる気さえあればいくらでもやり込めてしま うゲームなのです。
ただし、これは「サクラ」の世界にハマりきれるかどうかにかかっています。 「サクラ」中毒者以外にとっては、やり込み要素は「めんどくさい」ものでしかないし、 ある意味苦痛ですらあります。
基本的に「サクラ」はマニアのためのゲームだから、こういう過剰なやり込みを 前提にして設計されています。そこに楽しみを見出せるか否かによって、このゲームの 総合評価は大きく変わってくるでしょう。


熱中度:10点

世界観の自然な擦り込みと、お約束ながらもプレーヤーを引き込むシナリオ。魅力的 なキャラクターと過剰なやり込み。どれをとっても「サクラ」中毒者には辛抱たまらん ゲームであり、1回目のプレーは本当に心底楽しむ事ができます。非常に濃厚な20時間 を過ごす事ができます。
私は2周目を途中やめしてしまいましたが、そのくらいで「サクラ」に対する情熱が 冷めたわけではありません。もはやテレビに向かってゲームをしていなくても「サクラ」 ワールドが自分の中に定着していているからです。それだけ影響力の強いゲームです。


完成度:9点

サクラ「1」を素直に進化させた「2」は、ゲームとしてひとつの完成形であると 言える。それは技術の進歩ではなく、ゲームの面白さの要素を伸ばす事にこだわった進化 のスタイルである。こうしてゲームが順調に育っていく姿を見ているのは、結構楽しい ものだ。
広井王子とセガの看板作品として、いずれ「3」がドリームキャストで出るだろう。 だが、どんなに見ためがすごくなろうとも、「サクラ」の面白さの要素は変わらないだろ うし、もっと進化させたものになってくれるだろう。
偏見と羞恥心さえ捨てればこんなに面白いものはないですよ。

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