タイトル | 総合点 | シナリオ | 演出 | 操作性 | 戦略性 | バランス | やり込み | 熱中度 | 完成度 |
サクラ大戦2 |
演出:9点
架空時代「太正時代」という世界観の演出は前作同様に完璧。豪華絢爛必殺技、
イメージ通りの声優起用、ツボをおさえたストーリー展開。すべてが高レベルに完成
されている。しかし、いまいち親切設計とは言えない。飛ばせない必殺技のCGと、
長ったらしい戦闘パートにイライラした。
あと、随所に挿入されていたアニメーションはキレイにはなったが、相変わらず
細切れで短すぎ。表面的演出には文句の付けようもない程に完成されているが、その
あまりの豪華さは何度も繰り返さなくてはならないゲームにおいてはマイナスでしか
ないのだから。
「サクラ」はその存在自体が「打ち上げ花火」のようなものなので、そういう
頭でっかちな作りになってしまうのは仕方ないのかも知れないが、しかし、本当は
トータルとしての演出を考えて欲しかった。
操作性:8点
時間制限選択システム(LIPS)が大きく進化し、単純な選択肢にも緊張感が生まれた。
ADVパートの時間経過明示や制限時間によって選択肢が変化したりと、このシステムが
行き着く所まで来たと感じられた。戦闘パートも移動キャンセルが可能になった。
(前作までは移動先を一度決めたらキャンセルできなかった)。これにより、大幅に
戦闘中の「大ポカ」が少なくなった。
インターフェースとして非常に優れたゲームだが、総合的には「めんどくさい」
という印象が強すぎる。少なくとも2回、できれば8回プレーしなければならない
ゲームにおいて、あの戦闘パートの長さは致命的な欠陥である!いかに優秀なインター
フェースを持とうとも、ゲームとしてのリズムが良くなければダメだというよい例だ。
戦略性:5点
戦闘パートはヌルイ。もはやSLGとは言えないくらい。機体が7体から9体になって
ますます力押しでどうにでもなってしまうワンパターンな展開と、やたらと時間のかかる
戦闘パート。2周目以降には、戦闘スキップ機能が欲しかった。
ADVパートは文句のつけようがない出来であるだけに、戦闘パートの「もっさり」と
した重さが、複数回プレーの妨げになってしまっている。
バランス:6点
1話分がだいたい1時間半くらいだが、これは1回目のプレーではあまり気になら
ない長さではあるが、2回目以降ではおそろしく長く感じてしまった。特に、戦闘パート
のテンポの悪さに辟易してしまった。完全な力押しで戦略もくそもないのに、やたらと
時間だけはかかる。
個々を見れば、これらは多少のストレスを上回るゴージャスさがあり、大した問題
ではないように思えるが、トータルバランスにしてみると、そのストレスはとんでもなく
巨大なものとなっていた。
やり込み:9点
このゲームを極めるのは相当大変な事である。全イベントを見るのも一苦労。何しろ
前作のクリアデータがなければ見れないイベントまであって、完全攻略の道は遠く険しい
。他にもミニゲームが豊富であったりして、やる気さえあればいくらでもやり込めてしま
うゲームなのです。
ただし、これは「サクラ」の世界にハマりきれるかどうかにかかっています。
「サクラ」中毒者以外にとっては、やり込み要素は「めんどくさい」ものでしかないし、
ある意味苦痛ですらあります。
基本的に「サクラ」はマニアのためのゲームだから、こういう過剰なやり込みを
前提にして設計されています。そこに楽しみを見出せるか否かによって、このゲームの
総合評価は大きく変わってくるでしょう。
熱中度:10点
世界観の自然な擦り込みと、お約束ながらもプレーヤーを引き込むシナリオ。魅力的
なキャラクターと過剰なやり込み。どれをとっても「サクラ」中毒者には辛抱たまらん
ゲームであり、1回目のプレーは本当に心底楽しむ事ができます。非常に濃厚な20時間
を過ごす事ができます。
私は2周目を途中やめしてしまいましたが、そのくらいで「サクラ」に対する情熱が
冷めたわけではありません。もはやテレビに向かってゲームをしていなくても「サクラ」
ワールドが自分の中に定着していているからです。それだけ影響力の強いゲームです。
完成度:9点
サクラ「1」を素直に進化させた「2」は、ゲームとしてひとつの完成形であると
言える。それは技術の進歩ではなく、ゲームの面白さの要素を伸ばす事にこだわった進化
のスタイルである。こうしてゲームが順調に育っていく姿を見ているのは、結構楽しい
ものだ。
広井王子とセガの看板作品として、いずれ「3」がドリームキャストで出るだろう。
だが、どんなに見ためがすごくなろうとも、「サクラ」の面白さの要素は変わらないだろ
うし、もっと進化させたものになってくれるだろう。
偏見と羞恥心さえ捨てればこんなに面白いものはないですよ。