タイトル | 総合点 | シナリオ | 演出 | 操作性 | 戦略性 | バランス | やり込み | 熱中度 | 完成度 |
パラサイト・イヴ |
演出:9点
「FFVII」から1年余。ゲームCGの進化はなんとも速いものだ。「VII」のCGが今では
ちゃちに思えてしまう。「パラサイト」にはハリウッドパワーの協力が話題になったが、
その映画的手法は随所にキラリと光るものがあった。日本人ではちょっと考え付かない
ようなカメラアングル(斜めに傾いた廊下とか)や、怪物のSFX技術などなど。
パッと見は「バイオ」だが、あくまでこれはRPGであるし、「恐怖」を前面に押し出
すタイプのゲームではない。「バイオ」のように「恐怖」を直接的に演出してある場面は
ほとんどない。実は、ストーリー性を重視したゲームを設計するにあたって、「バイオ」
のような演出手法を取る事はかえってマイナスなのだ。RPGではトータルの演出が大切
であり、即効性のある露骨な演出よりも、じわじわと効いてくる間接的な演出がなされる
べきなのだ。この点で「パラサイト」はパーフェクトだった。
CGの演出については多くは語りたくない。まだまだ過渡期の産物だからね。
操作性:8点
アナログコントローラ(デュアルショック)でプレーすると、移動中常にダッシュが
かかっていて、片手プレーができる。戦闘には、「避け」と「間合いどり」を自由に行う
事ができるなど、インターフェースとしては非常に良くできている。しかし、建造物と
人間の比率対と、人間のダッシュ速度をあまりにリアルにしすぎたため、結果的には移動
速度のトロさが目に付いてしまった。しかし、良い所もある。ドアを開ける時にいちいち
決定ボタンを押す必要がない(モーションがなんとも不自然だが)。アナログ入力の移動は
快適だったが、単純なメニュー操作もアナログ入力でやらなければならないのが辛かった
。
「グランツーリスモ」みたいに、ああいう所だけは通常レバーで操作させて欲しかった。
戦略性:6点
見ためは「バイオ2」でも、基本はRPGなので、ボス戦はレベルさえしっかり上げて\
おけば
楽勝だし、特殊な戦術を要求される戦闘もほとんどなかった。常に火力勝負なので少々物
足り
なさもある。PE(パラサイトエナジー)も回復以外に役に立たなかった。
総じて、RPGとしてはヌルい戦闘ではあったが、難し過ぎてもストーリーの妨げにな\
るので、
本来この手のゲームにそういう部分を求める事自体が間違っているのだろう。
バランス:6点
戦闘は楽チンなのでサクサク進める...はずなのだが、思わぬ落し穴があった。戦闘\
以外で
詰まるところ、ゲームオーバーになってしまう所がいくつかあり、その解決策に関するヒ
ントが
全くない!そこまでサクサク話が進んでいただけに、理不尽にその勢いを止められてかな
り
むかついてしまった。ハッキリ言って、ここまでプレーした人には、このゲームの総合点
に9点
を付ける事はできないだろう。
映画的手法とゲーム性の歪みを垣間見てしまった場面であった。
やり込み:8点
10時間でクリアできるのに、なぜこんなにやり込み度が高いのかというと、それは
「真の
エンディング」なる物が存在し、それを見るためにこのゲームは「やり込みゲーム」へと
変身
するからです。デタラメに強力な武器と防具が必要になるのだが、その強化とおまけダン
ジョンの
攻略を加えるとプレー時間は30時間を越えます。
やることはすごく単純なのに、これが意外と楽しい。さすがはスクウェア!よく分か
っている。
映画的ゲームはどうしてもプレー時間が短くなってしまうから、一度解いた後、ストーリ
ーと関係
ない所でゲームらしさを出す。この理想を「パラサイト」は半分だけ実現していた。おま
け部分の
クリアがストーリーの肝である「真」のエンディングを見るための絶対条件であるため、
本来自由
に遊べるべきであるおまけ部分を反強制的にやらざるを得なかった。そういう目的のハッ
キリしす
ぎたやり込みというものは、目的を達してしまえば急速にヤル気が萎えてしまう物だ。ま
だまだ
この部分の問題は今後も映画的ゲームについて回る問題であろう。
熱中度:6点
のめり込むタイプのRPGではない。映画的ゲームと言っても、かなりの部分を自分で\
動かせる
ので「やらされてる感」はあまりないのだが、設定がニューヨークであり、変な意味で現
実的
な(?)話なので、かなり冷静に(冷めて)プレーしてしまうタイプのゲームである。映画と
いう物は
そういう物なのだけど。いかに観客を魅了するか。その一点に尽きる。
それはゲームにも言える事なのだが、ゲームの場合主人公に感情移入できないと物語
にハマル
のは難しい。そういう意味で、「パラサイト」は及第点だったと思うが、本気で熱中する
タイプの
ゲームではない。
完成度:9点
スクウェアがPSに参入した当初目指していたもの....その一つの形がこの「パラサイ
ト」に
集約されてういる。「FFVII」から一年でここまで進化したCGは、今後ものすごい速さで\
過去の物
となってしまうだろう。しかし、この作品はその原点として色褪せる事のない、記念され
るべき
作品である。ゲームと映画の融合がゲームに次のステップをもたらす事を証明してくれた
功績は
大変なものである。その業績を知らず、何年か先にこのゲームをやったら、きっと私はこ
のゲーム
に何の感情も抱けないかも知れない。でも、それでいいんだと思う。技術は常に進化し続
けている
のだから。それがゲームの宿命だから。