本稿では「前・真前・前方・正面・向かい・手前・うしろ・真うしろ・後 方・背後・向こう・右・左・横・真横・隣・上・真上・下・真下」という20種 類の方向に関する語句を方向提示語句と呼び、それらを軸として2つの対象の 位置関係を表現している日本語文を研究の対象とする。 今回取り上げた方向提示語句については、位置関係において方向を提示するような 語句のなかでも使用頻度が高いもの20種とした。
以下に、今回の研究対象となるような標本の例をひとつ挙げる。
例) 店の前に車が停まっている
この例文の場合、2つの対象は『店』と『車』、方向提示語句は『前』である。
また、位置関係において方向的に基準となる方の対象を基準対象と呼ぶこととす
る。この場合、基準対象は『店』となる。