つっこみ

本文で書くとだらだらする時にこちらで一言。随時更新します。

SDAT方式

本文ではメルコのHDDIF変換方式を指していますが、“ゆぅ”は別のモノを想像してしまいます。Digital Audio Tape の方のDATです。

DATは1986年頃高品質デジタル録音できる便利なメディアとして発表され、発売されました。しかしCDがそのままダビングできてしまう(実際はロスが多いので同一ではないのですが)ため音楽業界が猛反発、間もなくデジタルツーデジタルができなくなりました。価格も下がらないためユーザもそっぽを向き、結局メディアとしては普及しきれませんでした。やがてSCMSの開発によりコピー問題は一件落着、1世代のみデジタルコピーできるようになりました。この頃になるとMDやDCCが主役の座を争っていました。

DATの優れた点として、原理的に音が劣化しないこと、長時間連続録音(標準モードで3時間)が可能なこと、さまざまな情報を埋め込めることが挙げられます。テープなので自由なフォーマットが作れるため、好きなサンプリングレートを選べます。現在32kHz、44.1kHz、48kHz、96kHzなどがあり、サラウンド信号を埋め込んだフォーマットもあるようです。音マニ以外の一般ユーザには浸透していませんが、音楽業界ではマスターテープをはじめ広く使われています。

問題のS-DATですが、DAT開発時の案の1つである固定ヘッド方式を指します。当時、固定ヘッドで数十トラックの信号を一度に書く方式(S-DAT)と、ビデオ同様の回転ヘッドを用いて記録する方式(R-DAT)が提案されました。しかし当時はまだ固定ヘッドの高密度実装プロセスが確立していなかったようで、見送られました。そして8mmVTRを手本としたR-DATが標準となったのです。当然テープなので走行系トラブルはつきもの。VTR以上に徹底した安全対策が採用されました。

採用されなかったS-DAT方式のアイデアは、CompactCasetteをベースとしたDCCに採用されました。しかし時代は「光」に向いており、またメーカの戦略も甘かったためここでも普及することはありませんでした。