RIN(リンとよむ)とは、トランプを使ったカードゲームの一種です。鳥取西高校の地学部にいつの昔からか代々伝えられてきたものです。シンプルなルールの割にはかなり遊べます。同じマークか番号のカードを出していくという原則は、ページワンそのものです。極端に言えば“ページワン”の亜流の一つということになります。
RINの特徴は、ゲーム展開がスピーディなこと、ルールが細部まで確定していること、点数制度が賭けに適しているといったところです。いままで数々の亜流ルールを見てきましたが、ここまでしっかりした版はありませんでした。
全く知らないかたでも、覚えるのはブリッジほど難しくありません。RINの世界へ足を踏み入れてみませんか。
人数:2人以上。4〜6人が最適だと思います。
準備:全員で囲める台、カード(8人以上の場合2組使用した方が無難です)
その他:点数記録用の紙と筆記具
はじめる前に、いちばん基本的な原則を説明しておきましょう。この項目は、通常のページワンにもほぼ該当します。
・カードを全員に7枚ずつ配ります。残ったカードは一枚めくって場札とし、残りは山として伏せたまま置きます。
・誰かからゲーム開始。その人から順番に右回りか左回りで順番に以下のことを行います。
・自分の手番が来たら、場札を見ます。もし番号かマークが同じ札を持っていたら、それを出して場札に重ねます。もし持っていなかったら、山から一枚取ります。今取った札を出すことはできません。ここがページワンとの大きな相違点なので注意しましょう。
そうして順番にこなしていきます。そのうちカードがなくなる人がいたらそこでゲーム終了。カードを無くした人が勝ち、その時点で最もカードを持っていた人が負けです。
……これが基本ルールです。「同じ番号かマークのカード」ということです。しかしながら、これだけではゲームとして非常につまらないということが、既にページワンで証明されています……。
はじめにカードを配る必要があります。誰が配っても構いませんが、2回目以降は前回負けた人が配るのが良いようです。一人あたり7枚になるように配ります。各々は、互いにカードを見られないようにした方が無難です。
配り終わったら、残りを山として伏せたまま台に置きます。今後カードを取る場合はここから取ることになります。
そして始める前に、さきほど配った人がカードを山から一枚めくって横に置きます。これを場札とします。これがゲームの最初のカードになるわけです。もしも場札が特殊札(A/2/8/K/Jokerのいずれか:後述)であれば、無条件にさらにもう一枚山からめくり、場札にします。これを通常の札になるまで繰り返します。この時点で5〜6枚山が無駄に減ることもありますが、問題ありません。
そうして山と場札が揃ったところでゲーム開始となるわけですが、最初に出すのは「前回負けた人」です。第1ゲームの場合はジャンケンで勝った人になります。最初だけは例外的に、出せる札が無い場合「パス」と言ってパスすることができます。つまり1枚取る必要がないワケです。くどいようですが、2人目以降はパスできません。
続く2人目の決め方ですが、これは早い者勝ちです。最初の人の両隣の二人のうち、先に出せるカードを出した方が二人目となります。もし双方とも出せないようならジャンケンし、負けた人が1枚取ると同時に2人目となります。
3人目は、1人目、2人目に並ぶ人になります。最初の二人で、回る方向が決まるわけです。以下はその方向で進行します。
順調にカードを出していくと、あと一枚で上がれる(手持ち1枚)状態になることがあります。この場合、最後から2番目のカードを出しながら「ラスト」と宣言しなければなりません。
もし次の人が札をを出すか取るかするまでに「ラスト」を言わず、かつ誰かから指摘があった場合、ペナルティとして山から3枚取らなければなりません。
誰かの持ち札が無くなった時点で、通常のゲーム終了となります。カードの無い人が勝者となります。他の人は持ち札の合計値を計算し、最も大きい人が敗者となります。もしも同点なら、負け分を配分します。点数は敗者の持ち札の合計値となります。
なお、点数計算は以下のように見立てて行います。特に難しくはないと思います。詳しくは後述します。
A→1
J→11
Q→12
K→13
数字札→数字そのまま
リンはゲームの中核をなす割り込み行為です。タイミングを計ってリンするのが真のRinnerです。
ゲームの進行最中、持ち札の合計が場札と同じになった場合「リン」と宣告して自分のカードを公開し、ゲームをその場で終了させることができます。誰の手番であろうと特殊札が生きていようと関係ありません。勝者はリンした人、敗者はその場札を出した人になります。点数は敗者の持ち札の合計値の2倍です。
ページワンではマイナーな地方ルールで、「ドボン」と呼ばれることが多いようです。
時として、山から札を取ったら合計が場札と同じになった、ということがあります。この場合はすぐ「トリン」と宣告してカードを公開、ゲーム終了にできます。勝者はトリンした人、敗者は場札を出した人です。点数は敗者の持ち札の合計値の3倍です。
リンされた場合は通常敗者となりますが、もし手持ち札が場札(およびリンした人の持ち札の合計)と同じ場合は、「リン返し」と宣告して自分もカードを公開、ゲーム終了となります。この場合点数計算は一切なく、ゲームが流れるだけとなります。次のゲームはリン返しした人(当初の敗者)からになります。
たまたまリンする人が2人、3人になるということもあります。この場合はそれぞれダブルリン、トリプルリンとなります。ルール的にはリンが重なったものです。点数計算では勝者がそれぞれ通常のリンの適用分だけ加算され、敗者は逆に勝者全員の分逆に引かれます。
4人以上の場合も呼称が無いだけで同様のルール適用となりますが、経験上まずあり得ません。
説明が前後してしまいますが、特殊札というものがあり、それぞれの役割を持っています。
A(エース)は、出した人を軸に手番の進行方向を逆転させます。たとえば、Sさんの次のTさんがAを出すと、次に出すのはSさんになります。二人で出し合って持ち札を消費するもよし、上がりそうな人に手番を回してカードを増やすもよし、カード2の標的を絞るもよし、と流れを変える役割があります。
2のカードは、特殊ルールが適用されます。前の人が2を出した場合、次の人は2以外出すことが許されません。2を出せなければ2枚取らなければなりませんが、出せば取るべき枚数をさらに2倍にして次の人に振ることができます。UNOのDrawTwoやページワンの2に近いですが、それらが+2ずつ増えるのに対し、RINでは×2ずつ増える点が異なります。例を挙げるとこういうことです。
Sさんが2を出した:Tさんが2を
出ない場合→Tさんが2枚取る
出せる場合→Tさんが2を出した:Uさんが2を
出ない場合→Uさんが4枚取る
出せる場合→Uさんが2を出した:Wさんが2を
出ない場合→Wさんが8枚取る
出せる場合→Wさんが2を出す
(以下同様)
8のカードは、マークを自由に指定することができます。例えば[8]を提示して「スペード」と宣言すれば、以降これが[8]とみなされます。実際のゲームでは場のマークに偏りが生じやすいので、ゲームを有利に進めやすくなります。宣言を待たずに行えるのは、8カードを出すこととリンのみです。
K(キング)も特殊ルールが適用となります。Kを出されると、手番が一周するまではK以外のカード以外を出すことは許されません。Kを出すか一枚山から取るかだけです。もし途中でKを出した人がいたら、その人に戻るまでの一周となり、以前のKは無効となります。俗称一周ルールといわれ、ページワンではあまり適用されないようです。全員のカードを増やすメリットと、リンやトリンの危険性というデメリットを併せ持っています。大人数プレイの時はゲームの長時間化をもたらすことがあります。
いずれも、一通り適用されると効力を失います。2は誰かが取ったら、Kは一周したら通常の札と同じ扱いになり、次の人は例の「同じマークか番号」の札を出すことができます。
原則的にJoker札は使わないのですが、使う場合の効用を説明しておきます。
Jokerは「何かの数字、何かのマーク」として扱いますが特殊札としての効果はありません。通常時であればいつでも出せますが、2とKの特殊ルール適用中にそれらの代わりとして出すことはできません。また「何かのカード」なので、次の人は何でも出せることになります。
つまり、ゲーム展開を変えるほどの役割は持っていないのです。
Jokerに対してリンできるのは、Jokerのみなので、安全なカードといえます。
カードの枚数には限度があるので、人数が多い場合やゲームが続いた場合、山のカードが底をつくことがあります。そんな時は場のカードを戻す作業を行います。
場から、上のカード1枚のみ残してカードを集め、裏返してシャッフルしたものを山にします。作業は山から取ろうとした人、あるいは手の空いている人が行います。
さらに深刻な場合は持ち札ばかりが増えて、山を補充することさえできなくなることもあるでしょう。この場合は山から取れなかった枚数を「借り」にしておいて、山ができ次第順番に取ります。全員が出せないという状況は起こり得ないので、そのうち借りもなくなるはずです。
開始最初は全員0点とします。勝者に加算した分だけ、敗者に減算します。ゲームが進行しても全員の合計は0となるようにします。このため賭けが成立するほか、検算が容易になります。
通常終了の場合、上がった者が勝者、最も持ち札の合計の多い者が敗者となり、その合計値そのものを点数とします。
リンの場合は行った者が勝者、場札を出した者が敗者となり、敗者の持ち札の合計の2倍が点数となります。
トリンの場合は行った者が勝者、場札を出した者が敗者となり、敗者の持ち札の3倍が点数となります。
共通の計算法として、敗者の手持ちのカードに7がN枚入っていた場合は、点数をさらに(N+1)倍します。
あまり伝授すると筆者自身不利になってしまうので、少しだけお教えしましょう。
・最初に7を処分する…リンされた時の被害を小さくするためです。
・全員の手持ち枚数を把握…3枚以下の人はリンする可能性が高いです。
・2が決め手…相手の攻撃を避けたり、逆に相手に取らせる重要なカードです。ヘタをすれば膨れ上がって帰ってくるということも忘れないようにしましょう。
言葉で説明するとどうしても長くなってしまいますが、実戦をすることで簡単に覚えられるはずです。あとは少し経験を積めば、もう立派なRinnerです。
数時間遊ぶだけで千点以上差が拡大することもありますので、上達すれば1点1円でもかなり賭けることができることでしょう。保証はしかねますけど……。
それでは仲間を巻き込んで、どっぷりとRINな生活を送りましょう。