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「数の概略」「約、程度、前後」の翻訳方法


「数の概略」はおよその数を表す接頭・接尾辞で、本研究では、対訳コーパスに おいて「」種類ある。そのうち「約」、「前後」、「程度」を研究対象とした。
本研究では、「数の概略」の翻訳方法を以下の規則の順に従い実行する
規則A.「数の概略」に関する一般的な規則
規則B.各接頭・接尾辞特有の規則
規則C.複数の解を正解とする規則

規則A.一般的な規則の導入
規則Aは従来の「数の概略」の翻訳規則を対訳コーパスに適用した規則である。なお、実行順序は正解率が最も高い順と する

a:直前が「at」もしくは概数を表す動詞の場合訳は省略[5]
b:数詞に前後の幅がある場合訳は「some」、または「数詞-数詞 range」 [6]
c:数詞が10以下、ターゲットが単数系の訳は「some」以外 [5]
d:小数が存在する場合、訳は「around」以外 [7]
上記の規則から以下の図1に示す翻訳規則を作成した。

a:直前が前置詞、または no
概数を表す動詞 訳は省略される
↓yes no
b:数詞に前後の幅がある 訳は「some」
数詞-数詞 「range」
↓yes
c:数詞が10以下、または
数量詞の対象が対数系 yes 「some」以外
↓yes
d:数詞の一桁目が0以外 no
小数が存在 ※訳はaround以外
↓yes
規則Bに移動 『「※」 は条件を
満たした後規則Bに移動』
図:1 一般的な規則を用いた「数の概略」の翻訳方法

規則B.各接頭・接尾辞の特有の規則
規則Bは「約」、「前後」、「程度」がそれぞれもつ特徴から作成した 規則で、本稿では例として、接尾辞「程 度」がもつ意味から作成した規則を示す。

接尾辞「程度」の意味には以下の3種類がある[8]。
(1)「根本にかかわることではなく、程度がどういうことか」
(2)「程度の大小が物事の適否にかかわること」
(3)「ちょうど適当と考えれる度合」
対訳コーパスを調べた結果、「程度」が(1)の意味を持つ とき訳は省略され、(2)の意味を持つときは「only」と訳される。(3)の意味を もつ場合訳は複数の候補を持つため規則Cに移動する。上記の規則を 接尾辞「程度」の翻訳方法に加える。

規則C.各英訳の選択
規則Cは「数の概略」の各訳のもつ特徴から作成した規則で、数の曖昧性を判断 するために基準値を用いた。また、この規則においては複数の正解を持たせた。 数の概略の訳の候補には「about」、「approximately」、「around」、「roughly」 、「some」、「省略される」があり、以下に各訳の翻訳規則を示す。また、この訳を選 択する基準に0の数から数詞の曖昧性を判断する基準値を用いる。この基準値の式 も同様に以下に示す(これ以降、以下の式(1)を基準値とする)。

\begin{displaymath}
数の曖昧性の基準値=\frac{桁数 − 0の桁の個数}{桁数 + 1}
\end{displaymath} (1)

上記の規則から、各訳の翻訳規則は以下のようになる。
「about」 - 例外を除いてすべて正解
「approximately」 - 基準値が0.5の場合
「around」 - 数詞が100の位の場合
「roughly」 - 現在検討中
「some」 - 数詞が「万」以上の場合
「省略される」 - 直前に前置詞が来る場合
本研究では「約」、「程度」、「前後」の翻訳方法を上記の規則A、B、Cを順 に実行する規則とした。

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平成13年3月22日