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IPALとALTの対応付け及び比較

はじめに、IPALの辞書とALTの辞書に収録されている見出し語を 日本語表記をもとに対応させ、表1のような対応表を作成する。 記載する情報は以下の12項目である。

なお、IPALの欄の説明において、(情報処理振興事業協会技術センター 1996)より 一部抜粋した。

表1の例では、まず「かき」という見出し語に対してIPALの辞書には 「柿」「かき」「カキ」という3つの表記が記載されており、その語義として2つの 意味と、それぞれの意味素性、例文が挙げられている。そして、IPALの日本語 表記をもとにALTから対応する名詞をさがすと、「柿」という表記に たいして英訳語''persimon''とその意味属性[果物][果樹]が、「かき」という 表記に対して英訳語''persimmon''、''persimmon tree''、''oyster''とそれぞれ の意味属性が登録されているので、これを訳語候補とする。なお、この中で ``oyster''はIPALに登録されている「かき」とは別の物だが、機械翻訳では 表記がまず一番の情報となるので、これも「かき」の訳語候補の中に含める。


表1 IPAL-ALT 対応表
見出し語 IPAL基本名詞辞書 ALT-J/E 日英対照辞書
かき [ 柿 かき カキ](2) [柿](1)
  ==[柿(かき),かき,カキ]== :persimmon
  $\star$ 秋に赤く、食用になる実をつける、カキノキ科の落葉高木。 [854]果物
  $\cdot$ CON:お宅の庭の柿は見事ですね。 [674]果樹
  $\cdot$ PLA:柿を植える。 [かき](3)
  $\star$ 「かき(柿)」の果実。 :persimmon
  $\cdot$ EDI:この柿は渋い。 [674]果樹
  $\cdot$ CON:カゴ一杯に柿を盛る。 [854]果物
  $\cdot$ PLA:庭に大きな柿がなっている。 (木):persimmon tree
    [674]果樹
    :oyster
    [545]貝
    [842]魚介類



このようにして対応表を作成した結果、IPALに収録されている 基本名詞1,081語のうち94%にあたる1,014語に対して、ALTの1,144語を対応付ける ことができた。このことから、ALTの辞書は日本語の基本名詞を十分に収録している といえる。なお、IPALとALTで見出し語数に差があるのは、双方の辞書の収録 方法の違いからIPAL側の1語に対してALT側の複数の語が対応することがあるためで ある。

また、双方の多義数を比較した結果を表2、図1に示す。これらを見ると、名詞の 多義数は日英を対比して見た場合よりも、日本語の中で見た場合の方が多いことが 分かる。


表2 IPALとALTの多義数の比較
IPAL ALT
平均多義数 2.13 1.88
最大多義数 18 12


 

図1 IPALとALTの多義数の関係


kirisawa
2000-03-15