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はじめに

機械翻訳を行う際の問題点の1つとして、多義を持つ 単語の訳語選択がある。ある単語に対して複数の訳語が存在する場合、 文として正しい翻訳結果を得るためには、その中から適切な訳語を1つ 選びだす必要がある。

訳語選択法についてはこれまでに、用言の訳し分けの方法としては 共起レベルと頻度をパラメータとする「尤度」と辞書的記述をもとにした 「制約」を用いる方法(野美山 1991)や単語の共起関係を用いる方法(鈴木、 太細 1991)、用言の文型パターンをまとめた結合価パターンを使う方法 (池原 他 1997)などがある。また、名詞については連体修飾句内の名詞の 訳し分けの方法として、格の情報と意味属性を用いた方法(北村、荻野 1990) などが提案されているが、名詞自体に訳し分けのための情報を求める研究や、 名詞一般についての分析を行った論文はあまり見受けられない。 名詞の多義構造についての論文としては(桑畑、本多 1997)があるが、日本語に 閉じた研究であり英語のとの対応関係は不明である。これは、名詞には 数が多い上に意味が多様で、今まで有効な手掛かりがなかったためである。

本稿ではその手掛かりを得るために以下の2つについて検討する。 まず、意味属性体系の持つ語義識別能力に着目し、この能力を用いることで 名詞の訳し分けがどの程度可能となるかを明らかにする。次に、 対訳コーパスを用いた統計を行い、実際の文章における日本語と英語の 対応関係を探る。

本論文は以下、2章では意味属性を用いた訳語選択について、3章では頻度統計 を考慮にいれた訳語選択について検討し、4章で結論を述べる。



kirisawa
2000-03-15