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助動詞は、話し手の意思や判断を直接表現するもので、南の分類と従属節の包含
関係は、従属節の認識の段階と包含関係を表しており、認識の段階が進んでいる
従属節は認識の段階が進んでいない従属節を含むことができない(係ることがで
きない)と言うことができる。
したがって助動詞の有無によって同一分類の中でも表現の段階の違いを判断でき
る可能性がある。そこで、以下のヒューリスティックスを導入する。
- (1)
- 従属節は助動詞を持たない同類の従属節を飛び越えず、それに係る。
例文1:
3#3
例文1の場合、直前の助動詞を持たない「向き合って」は、後方に
助動詞を持つ「生きられる」に含まれる(係る)とする。
- (2)
- 助動詞を持つ従属節は、助動詞を持たない同類の従属節を飛び越え、
それ以降の従属節または文末に係る。
例文2:
4#4
例文2の場合、過去の助動詞を含む「調べたところ、」は、直後の
語幹連用形のみである「でき、」に含まれることができず、それ以
降(ここでは文末)の「…が分かった。」に係る。
- (3)
- 助動詞を持った従属節同士であれば、係ることができる。
例文3:
5#5
例文3の場合、「感知できず」、「出さない」のどちらも助動詞を含
んでいるから、どちらも同程度の表現の段階にあるとし、「感知で
きず」は「出さない」に含まれるとする。
- (4)
- ALT-J/Eの決定した係り先は1)〜3)の条件を満たさない限り飛び越え
ず、それに係る。
例文4:
6#6
ALT-J/Eの結果では、「考慮し、」は「(力を)かけ、」に係るとなっ
ている。助動詞の効果を検証するために、助動詞による係らない条
件に適合しない限り、「考慮し、」は「(力を)かけ、」に係るもの
とする。
これらのヒューリスティックスによって、以下の効果が期待できる。
- 計算機で処理する場合に意味による判断が必要で分類を正しく付与でき
ないもののうち、長単位で取られたキーワードから漏れてしまった従属
節に対して、正しい分類を行うことができる可能性がある。
- 同一分類内であっても、認識の段階の差をより明確にできる可能性がある。
asano
2000-03-15